ISO9001:2015解説 b)事業プロセスへの統合

5.1.1c)では,品質マネジメントシステムが組織の事業目的の達成に寄与するものとなるよう,事業プロセスへの品質マネジメントシステム要求事項の統合をトップマネジメントに対して求める要求事項が追加されている。

詳細は、以下の対照表に示す。

ISO9001:2015の認証取得は、
組織の戦略上の決定とする

この規格の全ての要求事項は,汎用性があり,業種及び形態,規模,並びに提供する製品を問わず,あらゆる組織に適用できることを意図している。

自社の経営目的

自社の経営戦略

自社の年度経営計画

品質マネジメントシステムのPDCA cycle

リスク及び機会の取り組み 6章

脅威(リスク):
不良品の増加
10章

パフォーマンス評価:顧客満足
9章

機会:生産性の向上
新製品の開発
7章、8章

経営者の責任
5章

自社の強み・弱み

ISO9001:2015規格要求事項/自社の通常業務との対照表
Clause ISO9001:2015 自社で通常やっていること システム
4章 組織の状況 1.自社を取り巻く経営環境

組織の状況

内部環境外部環境

(全般)

4.1 組織及びその状況の理解 経営環境分析の実施
4,2

利害関係者のニーズ及び期待の理解

利害関係者のニーズ及び期待の特定
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 事業運営のためにどのような経営資源の効果的運営管理が必要かを特定する
4.4 品質マネジメントシステム及びそのプロセス
5章 リーダーシップ 2.社長の責任と使命

経営者の責任

(計画)

5.1 リーダーシップ及びコミットメント 経営理念/経営方針としての社長のコミットメント(コンプライアンスを含む)
5.1.2 顧客重視 お客様第一主義の経営の精神
5.2

品質方針

事業方針(品質方針)を制定
5.3 組織の役割、責任及び権限 自社組織の職務・権限
6章 品質マネジメントシステムに関する計画

3.リスク(脅威)及びチャンス(機会)への取組

事業計画
ヒト・モノ・カネ情報の運用/管理

(計画)

6.1
リスク及び機会への取り組み 年度事業目標並びに年度計画の設定 
6.2
品質目標及びそれを立つ制するための計画策定 業務目標の達成するための計画の策定(誰が、どのようなやり方で、いつまでに達成するか) 
6.3 変更の計画 事業計画の変更があった場合 
7章 支援 4.資源の運用管理
7.1 資源  事業経営に欠かせないヒト、モノ、カネ、情報
7.1.2 人々 外部から調達する人   
7.1.3 インフラストラクチャー 設備関連施設

事業計画
ヒト・モノ・カネ情報の運用/管理

(計画)

7.1.4 プロセスの運用に関する環境  仕事を効果的で効率よくやってゆくための環境 
7.1.5 監視用及び測定用の資源 監視機器及び測定機器の管理 
7,2 力量 力量、教育・訓練及び一般的な知識
7.4 コミュニケーション 内部コミュニケーション:各種会議、メール
7.5 文書化した情報

自社で使用している文書(仕事のやり方を指定したモノ)、記録(仕事をやった結果を記載したモノ)の運用・管理

7.5.3
文書化した情報の管理
8章 運用 5.生産またはサービスの実施 

運用

(計画) 

8.1 運用の計画及び管理 自社の実施計画の策定
8.2 部品及びサービスに関する要求事項の決定 営業業務 
8.3 製品及びサービスの設計・開発 設計・開発(企画・プラニング)
8.4 外部から提供される製品及びサービスの管理 購買・アウトソース、業務委託
8.5 製造及びサービス提供 製造及びサービスの提供
8.5.2 識別及びトレーサビリティ 不具合が出た場合の処置

運用

(計画)

8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物 顧客からの預かりものの取扱いと管理
8.5.4 保存 製品/サービス品の保存 
8.5.5 引渡し後の活動  お客様への引き渡しのルールの設定
8.5.6 変更の管理 生産/サービスに関する変更の管理
8.6

製品及びサービスのリリース

製品/サービスの検査・試験と最終チェック
8.7 不適合なプロセスアウトプット、製品及びサービスの管理 不適合製品/サービスの管理
9章 パフォーマンス評価 6.業績評価

監視測定/分析

(チェック)

9.1 監視、測定、分析及び評価 監視及び測定
9.1.2 顧客満足

顧客満足調査を実施
・受注高 ・失注高 ・各種アンケート調査

9.1.3 分析及び評価 データを分析して改善につなげる
9.2
内部監査 品質管理ミーティング、部門内管理
9.3 マネジメントレビュー 幹部会議

改善

(見直し)

10章 改善 7.改善
10.1 一般 是正措置
10.2
不具合及び是正措置
10.3 継続的改善 プロセスの監視及び測定

ISO9001:20015 付属書 A より

結果として生じた構造及び用語の変更を、組織の品質マネジメントシステムの文書に反映させる必要はない。箇条の構造は、組織の方針、目標及びプロセスを文書化する際のモデルを提供するのではなく要求事項を一貫性のある形で示すことを意図している。組織の品質マネジメントシステムの文書の構造にこの規格の構造を反映させることについての要求事項はない。→ 自社の業務システム文書に合わせればよい。

ISO9001:20015 付属書 A より

品質マネジメントシステムの要求事項を規定するために、組織で使用している用語をこの規格で使用する用語に置き換えることについての要求事項はない。組織は、それぞれの運営に適した用語(例えば、"文書化した情報"ではなく“記録”、“文 書 類”、“プロトコル” など、又は、“外部提供者”ではなく、“供給者”、“パートナー”、“ベンダー”など)を使用することを選択できる。→ 極力自社の業務で使用している用語を用いるようにする。

対照表をご覧になられれば、ISOのマネジメントシステムと貴社のシステムはそんなに違わないことがは明白です。

ISO9001:2015規格に書かれていますように、取得希望企業の業務システムと統合しなさいと言っています。チャレンジをしてみてください。弊社では丁寧な支援を心がけて対応をさせていただきますので、ご安心を・・・。

某審査機関の新規格審査に対する考え方

(1) マニュアル等の文書について

  1. 新規格では、マニュアル、規定等の作成は要求されていない。しかし、組織がマニュアルや規定、手順書などについてどこまで新規作成が必要か等を検討を要する。
  2. 実地審査における現場の実態やパフォーマンスを重視する。
  3. MSマニュアルと既存の経営管理システム(リスクマネジメント等)と関連づける。
  4. 組織の経営課題やリスクに関する情報が常時更新されているか確認する。

(2) 経営課題の特定及びリスクへの取り組みについて

  1. 経営計画において、リスクへの取り組み計画が策定され、それらの有効性評価が実施されているかを確認する。
  2. 部門・現場では、リスクへの取り組み計画が実施されているかを確認する。
  3. 審査では、経営目的の達成に影響を及ぼす経営課題やリスクなどを意識して確認する。

(3) MS目標について

  1. 目標の設定・見直しにおいて、経営課題やリスク等が考慮されているかを確認する。
  2. 目標に関連する実際のパフォーマンス情報を確認する。
  3. 目標が達成できていない場合は、その原因を確認する。→行動計画やMSの不備や課題を確認する。

(4) 内部監査について

  1. 規格要求事項のみに対応した形式的な確認監査から脱却しているかを確認する。
  2. 形式的なリハーサル型、なれ合いがた内部監査はNGです。
  3. 審査では、どのような内部監査の目的を設定して監査を実施されているのか、また、経営改善に貢献しているのかについて、一連の内部監査プロセスの実施を確認し、その有効性を評価する。

ISO9001:2015認証取得年間スケジュール

  1ヶ月目 2ヶ月目 3ヶ月目 4ヶ月目 5ヶ月目 6ヶ月目 7ヶ月目 8ヶ月目 備  考
キックオフ                 事前打ち合わせにて具体策を決定
ISO9001:2015規格研修                  
品質方針の設定                 見本を提案
マニュアルの文書化                 マニュアルは当方で見本を作成したものを提案
品質目標の設定                 見本を提案
記録類の作成と見直し                 必要であれば当方にてフォームを作成したものを提案
マネジメントシステム実施                  
内部監査員養成研修                 修了証は当方にて準備 審査機関へ申込み
内部監査実践                  内部監査は本審査までに終了しておく 必須条件
マネジメントレビュー                 本審査前までに終了しておく 必須条件
是正処置                 本審査(1ST)準備
本審査(文書審査)             1ST   本審査
是正処置                 本審査(1ST)是正処置指導
本審査(実施審査)               2ND 本審査(2ND)準備
 是正処置                 本審査(2ND)準備
ISO9001:2015登録                 登録
注 1) 実施は月2回3時間推進委員と交えて進める。事務局は推進委員会にて決定したものを作成し、管理責任者ともども従業員へ浸透を図る。